5 植物の光合成と呼吸 植物は何を食べて生きている?
「光合成」って何?


ねえ博士?植物って何を食べて生きてるの?
虫とか動物を食べる植物ってあまりいないって聞いたけど。

良い質問だね。
確かに植物は動くこともできないし、どうやって栄養を
とっているのか不思議だね。
今回はそれについて学んでいこう!!
人間を含む動物は、他の動植物を食べてエネルギーを得ているけれど、植物は一部の食虫植物(上の写真ね。)を除き、どうやって栄養をとっているんだろうね。
植物は、自由に動き回って餌を取ることができないから、光を利用して栄養を作り出すシステムを持ったんだ。この植物が、光のエネルギーを使ってデンプンなどの養分を作る働きを「光合成」というよ。
光合成はどこで行われるの?

光合成が、植物のどの部分で行われるのを知るために、このような実験が行われるよ。これによって、①光が当たった緑色の部分。②光が当たった白い部分。③アルミ箔で覆って、光が当たらなかった部分。の3つに分けて、どこにデンプンができているかでその場所を知ることができるんだ。

- 実験の手順は、上の通り。まず、葉っぱを約80度に温めたのエタノールにひたして、脱色する。エタノールには、葉の緑色の成分を溶かす働きがあるため、葉全体が白くなるよ。
- ヨウ素液がしみ込みやすいように湯または水につけて、葉をやわらかくする。植物の細胞にある細胞壁を壊してやるんだ。
- 最後に、ヨウ素液につけると、葉が青紫色に変わる部分があるよ。ヨウ素液はデンプンに反応するから、色が変わった所は、光合成が行われていたことが確認できるよ。
結果
①光が当たった緑色の部分は色が変わった。
②光が当たった白い部分は色が変わらなかった。
③アルミ箔で覆って、光が当たらなかった部分は色が変わらなかった。
考察
まず、③から光が当たらない場所で光合成は行われていないね。
そして、①②から、光合成は、光の当たった葉の緑色の部分=葉緑体で行われていることがわかるね。

テストによく出るポイント!!
エタノールは引火しやすいから、直接火で温めず、お湯につけて
温めるんだ!!
温められたエタノールの熱で、植物の細胞壁が壊れて、葉緑体の中の
クロロフィルがエタノールに溶け出す結果、葉は白く脱色されるよ。
光を当てた葉の葉緑体にだけデンプンができることを確かめるために
光を当てなかった部分の葉も観察し、調べたい条件以外を同じにした
実験を対照実験と言うよ。
光合成で使われる物質は?
光合成の単元では、下のような実験の問題も頻出だ。葉緑体で光合成がされる時に使われる物質を実験の結果から問われるものが多いからしっかりと押さえておく必要がある。
まずは、下の問題を考えてみて欲しい。正解は、右の矢印をクリック

石灰水の様子
超重要‼ 石灰水は二酸化炭素があると白くにごる。
試験管Aは変化なし。
試験管Bは白くにごった。
光合成が行われた試験管Aでは、二酸化炭素が減っているため、光合成には、二酸化炭素が使われることがわかる。
光合成に二酸化炭素が使われることを確認する実験としては、右のようなものもある。
4本の試験管に水とBTB溶液を入れ、息を吹き込みBTB溶液を黄色にする。二酸化炭素は水に溶けると酸性(黄色)を示す。
A,Bの試験管にはオオカナダモを入れ、BとDの試験管はアルミニウム箔で覆う。
20~30分後、光を当てて、BTB溶液の色を調べる。


すると、Aの試験管のBTB溶液のみ、青色に変化し、B,C,Dの試験管は黄色のままだった。
オオカナダモが入っており、かつ光が当たった試験管Aでは光合成が行われた結果、二酸化炭素が減ったといえる。
同じオオカナダモを入れても、光が遮られたBの試験管で何も変化がなく、また、そもそもオオカナダモが入っていないC,Dの試験管でも変化がなかったという対照実験の結果からも、光合成の結果、二酸化炭素が使われたと言える。
植物の呼吸と光合成
光合成の単元では、呼吸との関係も聞かれる。植物も生きている以上、呼吸を行う。よって、酸素を取り込み二酸化炭素を排出している。

光が当たらない夜などは、呼吸だけが行われるので、酸素が取り入れられ、二酸化炭素が出される。一方、日中は、呼吸で出す二酸化炭素の量より、光合成で使う二酸化炭素の量の方が多いため、全体として、見かけ上、二酸化炭素が取り入れられ、酸素がだされたようにみえる。

最後に注意点をひとつ。
中学までは、光合成によってなぜ酸素が発生するかは明確には触れられないが、念のために説明しておくぞ。
光合成では、大気中の二酸化炭素と水を材料にして、デンプン(ブドウ糖)という有機物を作る。これを化学反応式で表すと。
6CO² +12H₂O→C₆H12O₆+6O₂+6H₂O
となるよ。
光合成は、空気中の二酸化炭素からC(炭素)を体内に取り込んでデンプンに
かえる過程で、副次的に酸素が発生するものと考えることができるね。
Discussion
New Comments
No comments yet. Be the first one!